東大セミナー通信

2008.12.01塾長メッセージ

「金融危機」に思う


この度の世界的な「金融危機」で真っ先にリストラされたのは世界においても日本においても非正規雇用の人たちでした。こういうニュースに接すると複雑で暗い気持ちになる。時代劇などで「いつもバカを見るのは女子供だ」という弱い立場の者の言葉を耳にすることがあるが、非常時においてはそれは昔も今も変わらない。非正規雇用率は2008年1~3月で34%に達し3人に1人の割合になっている。また2008年版「青少年白書」は10代後半の非正規雇率は約7割だと伝えている。
年収200万円以下の労働者を「ワーキング・プアー」と呼び社会問題となってから間もないが、2006年に1985年以来21年ぶりに1,000万人を突破したようだ。日本の経済格差の拡大は近年指摘されているが「一億総中流意識」という日本人の生活意識が日本の経済成長の象徴とされたのは、ついこの間のような気がする。世界に冠たる中産階級の国日本が変調をきたし、ガタガタと崩れていくようである。
アメリカのブッシュ政権が誕生したあたりから、グローバル・スタンダードが叫ばれ競争による市場原理主義が各国の経済を席巻したが、この度の「金融危機」で破綻した。エコノミストはいろいろ分析しているが、余りにも実体経済とかけ離れた不自然なマネー・ゲームに無理があったのであろう。金融資本主義のあり方についても根本的に考えなければならない。もう少し温かみのある、人間性に合った経済の仕組みが無いものだろうか。
こういう状況下で月並みながら、学生には自己の可能性に最大限チャレンジして欲しいと思う。今春の私立大学の合格者48万人の内、一般入試を受けずに推薦またはAO入試で合格した者が24万人、約50%に達したようだ。私立大学の約5割が定員割れをしている中、生徒獲得を目指して推薦枠を増やしていった結果だ。当然学生の学力は十分でなく大学の教育に不都合が生じている。大学は出れば良いといった時代ではなく、どういう大学で何をどう学ぶかが大事なのである。少し楽天的ではあるが努力は裏切らないと信ずるのみである。

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