東大セミナー通信

2009.01.01塾長メッセージ

2008年を振り返る


9月に起こったアメリカ発「金融危機」はあっという間に世界に広がり、100年に一度といわれる不景気に見舞われている。少し前まで史上最高の利益などと伝えられた日本の自動車会社も非正規社員の契約打ち切りなど、この度の金融危機の深刻さを示している。
このままでは失業率も上昇(すでに有効求人倍率は0.8となっている)し、大学を出ても就職できないということも珍しくなくなる。厳しい世の中になったものである。北京オリンピックに沸いた8月から1ヶ月も経たないうちに、一部評論家を別にして誰がこのような状態を予想しただろうか。
非正規雇用者のリストラについてマスコミは毎日報道しているが、企業の論理と政府の政策意図の食い違いが指摘されている。企業にとってはパート・契約社員・人材派遣はこの度のような経済危機において安全弁の役割を果たすものとして考えられ、リストラはやむをえないこととされるのである。これが企業側の論理であり、このような結果は予想の範囲にあったわけである。問題は企業の論理(経済のグローバリゼーションの名の下に競争力をつける)に国が安易に乗り、労働契約の規制緩和を行ったことにある。
「企業が派遣社員を雇用契約期限が切れる前に公然と切ってしまうのは、雇用契約書のなかに期限前解雇を許容するような条文を入れられるように規制緩和をしたから」(週刊ダイヤモンド)がそれを指摘している。これでは「与党も厚生労働省もあまりに企業経営と経営者について無知であることに原因がある」(守島基博・一橋大教授)と言われてもしかたがない。今の中・高生が社会に出るころどのような労働環境にあるかとても予想はできないが目の前の課題に全力で取り組み、しっかりとした自己を確立してほしいと念ずるものである。

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