東大セミナー通信

2016.04.01塾長メッセージ

「粘り強さ」に注目!


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近ごろ読んだ本に「GIVE&TAKE『与える人』こそ成功する時代」(アダム•グラント著)というのがある。近年読んだビジネス書としては白眉で躊躇なく社員の必読書とした。理由は単なる著者の経験でもなければ、著者のビジネス思想、哲学でもなく、大学などの行動科学、経営学の研究に裏づけられたエビデンス(客観的証拠)に基づく内容であることである。この著者を知ったのは「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」(入山章栄著)によってであるが、前述のアダム•グラントを新進気鋭の経営学者として高い評価をしていたので興味を持ち、読んだ次第である。

 

「人と人との関係」において、人間を3つに分類して論じるところがことの他面白く、訳文の素晴らしさもあって一気呵成に読了することができるのである。
1つはギバー(人に惜しみなく与える人)2つはテイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)3つはマッチャー(損得のバランスを考える人)であり、自分を含めて周りの人逹が何れに当てはまるかを想像しながら読める。人間関係において通常、ギブ&テイクが成立しているが、ギバーはまず相手に与えることに喜びを見出し、その効果を自覚している。また、テイクを長い目で見ることができるのである。このタイプこそが成功する時代であるとする。

 

これは、単なるビジネス書ではない。人間の「生き方」としても多くの示唆に富む。「人間は、人間が存在することの意味を、他との関わりの中で問うて行く存在」(松本孝典)とするならば、著者の言うギバーの成功は納得できる。全篇、力の抜けたところがなく、教訓にみちているが、タイトルの「粘り強さ」について、「一定以上の能力をもった候補者がたくさんいたら、粘り強さは、その人がどこまで可能性を発揮できるかを予測する大きな要因になる」とし、「だから、ギバーは根気のある人間に目をつけるのである。そして、じっくり時間をかけて、粘りのあるひとの背中を押すだけでなく、根気のない人に根性そのものを植えつける努力をもする」としている。才能ある人の指導者が多くギバーであることがその効果を証明している。

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