東大セミナー通信

2016.07.01塾長メッセージ

「イギリスのEU離脱に思う」


concept06_image

 

先ごろ、イギリスでEU離脱に関して国民投票が行われた。結果は僅差で離脱ということになった。不思議なことにこの結果に対してイギリス国民の間に後悔にも似た感想が多く聞かれることである。ネット上でも今頃になって「EUって何?」といった検索が多いようである。あるいは離脱が多数を占めるとは思わなかったという離脱に投票した人が多いとの報道もある。またもう一度投票したら逆の結果になるのではないか、との観測もある。世界経済の混乱の兆候も現れ、ここに至ってことの重大性に気づいた節も見られる。もともと独立志向の強いスコットランドの独立に向けた動きも再び勢いづき、首都ロンドンの独立も俎上に載っているようだ。

 
この結果を受けて世界で200兆円にも及ぶ株価などの資産が吹き飛んだとの情報がある。果たして離脱派は事前にこうのような結果を充分に予想していたのだろうか?テレビ報道ではあるが、キャメロン首相が不人気で、お灸を据えたという人々も一定数いるらしい。キャメロン首相の父親の名前が例のパナマ文書に載っており、イギリス国民の顰蹙を買っていることも指摘されている。ところで、イギリスでは一昨年もスコットランドの独立を巡って選挙が行われ、かろうじて現状のままとなったが、これも僅差であった。このような大きな国論を2分する問題について国民投票で決することが本当に良いことかどうか大いに考えさせられる。

 
私は地球市民的な考えからEU(ヨーロッパ連合)のような地域連合に期待をかけていた。人、物、資金が自由に行き来し将来的に政治の統合まで進めば経済の活性化のみならず世界の平和にもつながると思うからである。確かに現在のEUにも様々な問題があることを承知している。しかし、アメリカのトランプ氏などの反グローバリズムは人類の歩むべき道から遠く、国家間、民族間のエゴがむき出しになり、戦後の歴史を数十年巻き戻すことではないだろうか。協調よりは対立を助長するものでポピュリズムの匂いがする。参院選を間近に控え安全保障、憲法改正、経済政策など大きな政治イシューについて国民の意思が問われている。慎重な投票行動が求められる。

ページTOPへ
facebook