東大セミナー通信

2020.03.31塾長メッセージ

「リーダーシップ」について考える


 

 

あるボランティア団体の中核的価値観の1つに

「リーダーシップ」が掲げられており、

そのメンバーとして以前から関心があった。

しかしそのイメージは漠然としていて

自分の中に明確な形で腹落ちしていなかった。

 

これまで会社のトップとして向き合わざるを得ない

テーマであったが、「組織の方向性を決める」

程度の認識しか持っていなかった。

 

それに近年注目の「サーバント・リーダー」の

リーダーシップとは

「共通の利益になると考えられた目標に向かって

 熱心に働くよう、人々に影響を与える技能」

という定義に腑に落ちるところがあり

会議で紹介したこともあったが

「技能」であるからには訓練によって

身に着けることができるというのが、

会議で強調したところである。

 

先日、

「世界標準の経営理論」

(早大大学院教授入山章栄著)

という本の中の

「半世紀を超える研究が行き着いた

『リーダーシップの境地』」を読んだ。

経営学における「リーダーシップ論」を

時系列に紹介し、近年は

「トランスフォーメーショナル型」と

「シェアード・リーダーシップ」が

有力になってきている、としている。

 

前者は「ビジョンと啓蒙」を重視する。

すなわち組織のビジョンとミッションを

明確に掲げ、それがいかに

部下のビジョンに適っているかを伝え、

その組織で働くプライド、忠誠心、

敬意を植え付けるとする。

また、コーチングや教育を通して

1人ひとりと個別に向き合い

学習による成長を促し、

新しい視点で問題解決を図ることなど、

知的好奇心を刺激する。

 

後者(SL)はそれぞれのメンバーが

時にリーダーのように振る舞って、

他のメンバーに影響を与え合うという、

「水平関係」のリーダーシップである。

SLは「知的ビジネス産業」において

極めて重要であると、述べる。

 

ビジネスにおいて

新しい知を生み出すことは重要であり、

「新しい知は既知の知と既知の知の組み合わせ」

から生まれる。よってメンバー間の

知の交換こそ重要である、とする。

 

SLがある組織では「これは自分の組織である」

というアイデンティティを持ちやすくなり、

結果として知の交換が

積極的に行われることになる。

 

近年の実証研究では

「従来型の垂直的なリーダーシップよりも、

 SLの方がチーム成果を高める」という

結果が多く示されているようだ。

 

この2つのリーダーシップ論で

共通して重要なことはビジョンである。

「自分のビジョンは何か」、

「自分は何者で何がしたいのか」を

全員が真剣に内省する必要がある、とする。

HBS(ハーバード・ビジネス・スクール)では

100年の歴史の中で、

教育方針が3度変わったといわれる。

設立当初の方針はknowing(知ること)

であった。

 

ビジネススクールは「ビジネスの知識」を

学ぶところであった。その後、ビジョンは

doing(行動すること)へシフトし、

「知ることより行動が重要」となった。

 

そして、2010年から掲げた方針は

being(自分であること)だ。

ビジネスリーダー養成の最高峰の

HBSが目指すのは「自分は何者か」

すなわち「個人のビジョン・軸」を

見いだすこと。

 

 

自らを省みることのみならず、

私たちの生徒指導にも重要な知見ではないか。

 

 

 

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