東大セミナー通信

2021.11.15教育情報

「哲学を学んで何になるの?」


皆さんこんにちは。

東大セミナーの堀越です。

 

この現代社会において、「大学進学」というライフステージはある程度一般的になりつつあります。

2020年の調査では大学進学率が54.4%と過去最高を記録し、高校を卒業する学生のうち半数以上が大学へと進んでいく社会になっています。

 

では、いざ大学に進学するとしたとき、決めなければならないのが「何を専門に学ぶか」という点です。

5教科を満遍なく学ぶ「普通科」が大多数を占める高校とは異なり、大学はその専門性によって学部・学科が細かく枝分かれしており、大学生はその枝分かれした先の専門分野について、何年間もかけて学んでいくことになります。

しかし、中学生や高校生の段階で「この学部・学科ではどんなことを勉強するのか」ということを具体的にイメージすることは難しいかもしれません。

 

そこで今回の記事では、大学での専門的な学びとはどういうものなのかを専門分野ごとに紹介してみたいと思います。

今回は私が大学で専攻していた「哲学」について、それがどんなことをする学問なのか、どんな役に立つのかということについて、お伝えしていきます。

 

 

 

目次


1.「哲学」って何?

2.大学で学ぶ「哲学」について

3.「哲学を学んで何になるの?」

4.まとめ


 

 

 

1.「哲学」って何?


こういった学部学科の紹介記事において、最初に取り上げるのが「哲学」というのはどうも正道を外れるというか、奇を衒(てら)っているようにも見えてしまうかもしれません。

哲学自体は比較的多くの大学で学ぶことができますが、「哲学科」として個別の学科を持っている大学はごく僅かです。

高校生の中でも人気のある学問とは言えず、むしろ志望者の多い語学系や理工学系を取り上げるべきかもしれません。

しかし哲学について少し調べてみると、最初に紹介する学問分野としては実に適切のように思えてきます。

 

というのも、「人類最初の哲学者」とされるタレスという人物は、実に紀元前7世紀の人物です。

そこから今現在に至るまでの約2700年、哲学は発展を重ねてきました。

これはあらゆる学問体系の中で最も歴史があるとよく言われます。

 

最も歴史のある学問であるということは、最も長く議論が交わされている学問であるということを意味します。

「巨人の肩の上に立つ」なんて言葉もありますが、学問とは先人たちが積み重ねてきた実績を基にして、そこから一歩先に進むことで進歩を重ねるものです。

そういう意味では、言わば「最も研究の進んだ学問」とも言えるかもしれません。

最も歴史があり、最も研究が進んだ学問……。どうでしょうか、最初に紹介するのに相応しいと感じてもらえましたでしょうか?

 

では、そんな哲学は具体的にはどんなことを研究しているのでしょうか。Wikipediaの「哲学」のページを見てみると、

 

学問としての哲学で扱われる主題には、真理、本質、同一性、普遍性、数学的命題、論理、言語、知識、観念、行為、経験、世界、空間、時間、歴史、現象、人間一般、理性、存在、自由、因果性、世界の起源のような根源的な原因、正義、善、美、意識、精神、自我、他我、神、霊魂、色彩などがある。

(Wikipedia「哲学」)

 

……とあります。別に読まなくても構いません。

このラインナップを見ただけでは興味を持つどころか、余計縁遠いものに感じてしまうでしょう。

 

簡単にまとめるなら、哲学とは「そもそも」を問う学問です。

そもそも『学問』って何だろう」「そもそも『自由』って何だろう」「そもそも人間とその他の動物って何が違うの?」など、世間の「当たり前」に対して疑問を差し挟むことが、哲学の根底にあります。

 

大学の哲学科では、そんな根本的なテーマに加えて、物事の善悪を考える「倫理学」、芸術などの良し悪しを考える「美学」なども研究テーマとされることがあります。

 

どれもこれも、「それって何の役に立つの?」と言ってしまいたくなるものばかりですが、その問いかけはいったん置いておいて、ここでは哲学の紹介に留めます。

 

 

 

2.大学で学ぶ「哲学」について


大学で哲学を勉強するとして、まずこれまでの哲学の歩みを理解する必要があります。

いわゆる「思想史」「哲学史」と呼ばれるものです。

上で挙げた「そもそも『自由』って何だろう」という疑問は、実に古代ギリシャの時代から哲学の中に組み込まれています。

そこから何千年という時間をかけて、たくさんの「自由とはこういうことだ」という主張が生まれては、後世の哲学者によって批判され、より洗練されていきました。

哲学科の大学生はまずその歴史を学び、どういった流れからその主張が生まれたのかを理解していきます。

高校の社会科で取り扱う「倫理」と繋がる部分がありますから、大学で哲学を学んでみたいと思う人は高校で倫理を学んでおくといいでしょう(ただし、受験では倫理選択はやや不利な面があるので、注意して選択しましょう)。

 

大学の講義を受ける中で哲学の知識をある程度蓄えたら、最終的には卒業論文という課題が待っています。

卒業論文とは、これまで培った哲学知識を基にして、そこから独自の推論や証明を加えたものをいいます。

大学の講義で扱うのは「広く浅い」内容ですから、講義を聞くだけでは論文は書けません。

より深く理解するために、哲学者の本や論文を読んだり、先生からより詳しい説明を聞いたりします。

時には同じ研究室のメンバーと議論をすることで、今まで気づかなかった視点に気づいたりすることもあります。

 

卒業論文のテーマや書き方は人それぞれですが、「これまでの哲学研究の一部に批判を加えて、自論を示す」「現在の社会問題などに対して、既存の哲学理論を適用して解決策を検討する」などが多いです。

やや難しい言い方になりましたが、つまりは「既にある哲学理論+自分なりのアレンジ」をもって、評価される論文を書くことができれば「大学卒業レベル」の哲学を身につけた、と言えるわけです。

 

 

 

3.「哲学を学んで何になるの?」


これまで哲学とはどういう研究をするのかについて話してきましたが、哲学科というとほぼ必ず聞かれるのがこの質問です。

しかしこの質問に答えるのが、なかなか難しいのです。

 

自分を含め、哲学を学ぶ人の多くは「何かに役立てよう」と思って哲学をしていません。

哲学は自分の「そもそも〇〇って何だろう」というふとした疑問を解決するためにする、いわば知的好奇心を満たすためのものであるため、「これが分かればこんなことに役に立つ!」と考えることは稀なのです。

実際私は大学を卒業する際に「そもそも平等って何だろう?」ということを真剣に研究しましたが、卒業後の生活でそんな平等論が役立った経験は、今のところありません。

今後も果たして役立つ場面があるかどうか……。

 

ですから、大学で学んだ哲学自体が役に立つことはほぼありません。

しかし、大学で哲学を学んだことで培われた「哲学的な思考法」は、今も非常に役に立っているなと感じます。

哲学的な思考法とは、「そもそもを疑ってみる」という考え方です。常識として受け入れられている考えを疑い、何となく使っている言葉の定義を疑い、本質はどこにあるのかを見極める。

そんな哲学を学ぶ中で繰り返しこなしてきた考え方は、行き詰まっている現状を大きく変えるのには大いに役立ちます。

現代社会は科学技術の加速度的な発展によって、これまで常識だったことが次々と覆っていく時代です。

そんな社会の変化に追いついていき、更に今後の発展を引っ張っていくためには、この「哲学的思考」こそが大切なのかもしれません。

 

 

 

4.まとめ


ここまで、大学での専門分野の紹介として「哲学」を説明してきました。

ともすれば「変わり者たちの巣窟」のように見られがちな哲学ですが(そしてその印象は間違っていなかったりもしますが)、「考えること」の面白さを最も感じられる学問だと思います。

そこで学んだ内容そのものが今後の人生に役立つことは多くはないかもしれません。

しかし身につけた「考え方」はいろいろな場面で役に立ってくれるはずです。

そんな哲学の魅力を少しでも感じてもらえれば嬉しいです。

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