以前に「過去と他人はかえられないけれど、未来と自分はかえられる。」という言葉を耳にすることがあった。その時は成る程と思ったものだった。過去の出来事にくよくよしないで前向きに生きよう、自分をかえることで周囲もかわるだろうという生き方に繋がり、感心した。しかし最近ふと過去もかえられるのではないかと思うようになった。もう少し詳しく言うと、過去という事実はかわらないかもしれないが、過去の事実のもつ・ ・意味は自分の考え方、受け取り方一つでかえられるのである。
「自分は学歴が無いから、よく勉強し人の話を訊いた。自分は身体が弱かったから、全部一人で行おうとせず人に任せた。」以上は松下幸之助氏の有名な言葉である。まさに逆転の発想で前向きな生き方である。事業の成功者といわれる人は、概ねこのような考え方、生き方をしていると思う。自分の至らなさを周りの人々や環境のせいにすることは私の過去を振り返ってみても珍しいことではない。過去はどのような角度からも見ることができるが、どの角度で見るかどうかで人生が一変するのではないか。
他人をかえるというというと、どこかおこがましく、不遜な響きがあって好むところではない。しかし教育という仕事に携わる以上、何らかの形で人の成長の過程に係わることには間違いなく、人の変化の可能性を信じたい。生徒と先生の関係でいえば、先生は生徒の重要な外部環境の一つといえる。人に与える環境の影響は甚大であり、心しなければならない。
学問をするということは、単に知識を身につけることではなく、人間としての生き方を学ぶことであると思うようになった。
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