東セミグループを設立してから四半世紀が過ぎた。この間、黒字と赤字が半々で決して平坦な道ではなかった。社員の給料の手当てで汲々として眠れぬ夜をすごしたことも少なからずあった。取引先やテナントの大家さんにも多々迷惑をかけたこともあった。今日の東セミがあるのも関係者のご理解と温かいサポートがあったればこそだと思う。人生においても、事業においても右肩上がりで永遠に繁栄することは不可能である。必ず山あり谷ありであり、それでこそ人間は鍛えられ逞しくなるのだと思う。苦があるから楽があり、楽があるから苦があるのである。
最近気になる事が一つ。何事においても失敗を恐れず、チャレンジする若者が少なくなっているのではないか。目標、志を高く掲げ果敢に挑む姿に感動を覚えるが進学においても就職においても安定志向が目立つ。暗中模索、試行錯誤といったことは今時の若者には受けないのかもしれない。今年の新成人八百人に対する意識調査で自分は植物的かもしれないと答えた男子が約六割いたが、これなどはその傾向を表している。私はこの五月で満六十歳の還暦を迎えるが、この年にしてようやく経営というものの一端が少し分かりかけたかなと思っている。それには以前の苦しい時代の教訓が活きていると自覚している。
「失敗は成功のもと」という言葉は言い古された感があるが最近はあまり耳にしない。どこかで失敗しないことが成功することであり、失敗は無いほうが良いといった思考があるからであろう。しかし本当にそれで良いのであろうか。親として子の成功へのレールを引くのは自然であるが、同時に物事にチャレンジする精神の涵養にも心を砕かなければならない。これから大学受験、高校受験の結果が続々と出てくるがその結果についても心広く受け止めたいと思う。人生において取り返しのつかないことなどほとんど無いのであるから。
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