「京大なんて受かる気がしない」という不安につける薬 - 石川県金沢市・野々市市・白山市の学習塾 - 東大セミナー
2021.12.18入試対策

「京大なんて受かる気がしない」という不安につける薬


皆さんこんにちは。東大セミナーの北川です。

今回は「自身の京大受験体験」を踏まえ、「勉強法」と「モチベーション」についてお話いたします。


目次

1.はじめに

2.「勉強法」を鵜呑みにしてはいけない

3.モチベーションが落ちたときはどうするか -そもそも合格をモチベーションにしない-

4.おわりに


 

 

1.はじめに


 以前の記事でもお話した通り、私は京都大学教育学部を経て、現在こちらの東大セミナーに勤めております。別に「京都大学出身であること」それ単体は、価値を持つことだとは僕は思っていません[1]が、京都大学を志望する学生は多いですから、その子たちに的確な受験への対策を指導することができる(少なくとも、指針は提示できる)という点では今の仕事に大いに役立っていると言えるでしょう。特に、京都大学に通う学生たちやその内情、教育の内容に関して肌で体験したという点においては、これ以上なく「本当」を語ることができるのは大きな強みだと自負しています。

 さて、この記事をお読みの方の中にはこうお考えの方もいるかと思います。「京都大学に合格できる人は、何かしらが特殊な人間だ」と。確かにそういう印象はあります。奇人・変人の集まりだとか、面白おかしく掻き立てられることもあります[2]

 僕も京都大学を志したその時は、そんな印象を持っていました。動画投稿サイトにアップロードされていたNF[3]で踊り狂うC.2.B.Project[4]さんの動画を見たときは「これが京都大学! ヤバいけど面白そうだ!」と思いました。もちろん学業的にも、自分が今見ている世界の外側を見せてくれるかもしれない場所への期待に、胸を膨らませたものです。

 しかし、そうやって京大への憧れを得た高校1年生の1学期に、私は看過できない問題を抱えていました。それは自分が変人ではないこと……ではもちろんなく、圧倒的な学力不足でした。学校のテストでも、理科と社会が分野問わずボロボロ(平均を下回ったことも何度かありました)、国英もとびぬけて優れているわけでもなく、といった具合です。ある種の「平凡」でした。「特殊」の対極です。

それまでに私が聞かされていたのは「東大・京大を目指す都会の受験生は、中3の段階から先取り学習を進めており、高1ではもう高3ぐらいの内容に触れている」「彼らはセンター試験[5]の演習に時間をすでにいくらか割いており、マーク式の試験など屁でもない[6]」という恐ろしい内容でしたから、自分には到底京大など無理なのではないか、と思っていました。

 ですが現にこうして合格して卒業できてしまうと、それは無理ではなかったということになるわけです。そこでこの記事では、「ある程度すでに勉強の習慣がついている」「周囲に勉強のことを聞くことができる先生(もしくはそれに準ずる存在)がいる」という前提を満たしている方を主たる対象にし、現在抱えているであろういくらかの不安を解消できれば、と思います。

 

 

[1] もちろん学歴は人生の選択肢にも大いに影響しますが、別に京大を卒業したから偉いわけでも、人間的に優れているわけでもないですよね。そういう意味での「無価値さ」です。

[2] 事実として、研究する力が高いけれど人格的に破綻していたり、生活能力が皆無だったりする知り合いも何人かいますが、別にそれがスタンダードなわけではありません。

[3] 京都大学11月祭のこと。November Festivalの略称。

[4] 京都大学のオタク系サークルの1つ。NFのステージでコスプレをして踊る集団。

[5] 当時はそれがどういうテストで、どれくらい大事なのかもよく分からなかったですが。

[6] これにはいくらか誇張があることを知るのはもっと後の話です。

 

 

 

2.「勉強法」を鵜呑みにしてはいけない


 私が京大を受ける、と決めたときから唯一意識してやっていなかったことがあります。

 それは「勉強法」を調べない、ということです。よくインターネットには落ちているはずです。「〇〇大学に合格したくば〇〇をせよ!」や「〇大合格のための〇箇条」といった類のものが。そんなものは嘘っぱち……とは言いません。むしろ役に立つことだってあると思います。むしろ、受験に対して気合を入れ、心構えを作るうえで助けになってくれることもあるでしょう。

 ですが、ちょっと待ってください。前提としてあなたにはすでに学習の習慣がついているはずです。そのうえで勉強法を調べているということはつまり、成績不振なはずです。ある程度勉強しているのに、なんで上手くいかないんだろう……とそんな風に考えて、焦っているのではありませんか。

 気持ちは分かります。ですが、この「やっているのに成績が伸びない」というヤツには即効性の薬はありません[7]。あなたは勉強法を探す前に、以下のことをやっているでしょうか。

 

  • ・自分は今どの科目が伸び悩んでいるのか考える
  • ・自分が今伸び悩んでいる科目のどこが苦手なのか考える
  • ・苦手な部分を克服するにはどうすればいいか考える

 

 要は、自分の勉強法の課題が自分で理解できていますか、ということです。もしそれをせず、「誰でも学力が上がるような魔法の手段」を探しているのなら、それは今すぐ諦めた方が良いでしょう。なぜならば、人によって一日に使える時間や、持つ資質、特性、さらには勉強への姿勢といったものが千差万別だからです。杓子定規に1つの方法を当てはめるだけでは、上手くいきません。

 基本として頭に置いておきたいのは、勉強法はオーダーメイドだということです。誰にでも大枠で通用する方法というのはうわべに過ぎず、「今自分に必要な勉強」と「それを遂行するための方法」は、個人に合わせて考える必要があるということです。

 これを考えるのは、何も自分ひとりだけでなくても良い[8]でしょう。例えばベテランに近い学校の先生は、豊富な知識と指導経験がありますから、1人で考えるよりよほど有意義な案を閃く手伝いをしてくれるでしょう。また、塾に通っている方なら、塾の先生はこういったことのエキスパートですから、どんどん頼ってみてください[9]。きっかけを掴むために先生を”使い倒す”のはあなたが持つ大事な権利ですから、十全に行使してください。

 ここで注意したいのですが、この手の勉強法の相談を、例えば動画サイトやその他インターネットで活躍されている「勉強系」の方々に頼るのは、あまりお勧めしません。彼/彼女らの大半はティーチングのプロですから、分かりやすい授業動画が欲しい、という点で頼るのは大事なことです。しかし、彼/彼女らには、個々人に合わせて勉強法を組むといった時間や手間は、現実的にありません。言い換えれば、「勉強系」の方々は「あなた」の勉強法を確立してくれる存在ではないのです。

 ただし、インターネットに書き込まれている勉強法も、活用の仕方を変えれば全くの無駄にはなりません。鵜呑みにするのではなく、自分なりにアレンジするのです。自分に合う部分だけを拾って、後の部分は使わない。それでいいのです。自分を無理やり型に押し込めすぎて窮屈になるくらいなら、自分の使いやすいように型の方を変更するのも良いでしょう。

 ともあれ、もしあなたが今「勉強法」で困っているのなら、勉強法を「探す」のではなく、勉強法を「作り出す」という意識を持っておいてください。何を課題とし、どんな参考書を使い、何時間勉強するのか。それを決めるのはあなた自身です。

 

[7] たまに「それは速攻で解決するわな」というモノもありますが……。

[8] もちろん、最後にそれを決定するのは受験生自身です。

[9] いったん自分で考えたうえで「これで正しいのか聞きに行く」という発想も吉です。また、何も考えずとりあえず聞きに行くなら「聞いたことの妥当性を後で考えよう」という心持ちが良いでしょう。本当に何も考えず適当に聞きに行くのはダメです。

 

 

 

3.モチベーションが落ちたときはどうするか -そもそも合格をモチベーションにしない-


 京大やその他難関大学を目指すことになれば、恐らく何度かモチベーションがもたない時期というのが来ます。そういう方も、恐らくこの記事をご覧になっているかと思います。私事で恐縮ですが、私も何度か模試の成績が伸び悩み、「もう少しランクを下げてみようか」、「ここで諦めれば楽になるなぁ」と思ったことがありました。

 それでも京大を目指すのならば、この下がりきったモチベーションを上げねばなりません。

 よく合格体験記なるものに書かれているのは、「将来〇〇になりたい、そのためには××大学に行くしかないと自分を奮い立たせ~」というような一節でしょう。つまり未来志向でモチベーションの低下を避けるわけですね。そういう風に具体的な将来の夢が決まっている人はそれも良いかもしれません。というか、自分で自分の未来のかじ取りをするのですから、モチベーションがどうたらという問題には比較的陥りづらいでしょう。

 あるいは、この世のどこかには「京都大学に合格しないと死ぬ」みたいな強迫観念をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。それはまあ、動機としてはこれ以上ないくらい純粋で素敵なものだとは思いますし、モチベーションがそもそも下がらないでしょうから、結構なことだと思います。

 さて、ではこの2つに当てはまらない人はどうしましょう。つまり

 

  • ・将来やりたいことが具体的に定まっていない
  • ・強迫観念レベルで合格への執着があるわけではない(が、受かりたい気持ちは強く持っている)

 

 この2条件を満たしている人は、どうすればモチベーションを保てるのでしょうか。

 答えは簡単で、勉強そのものにモチベーションを置けばいいのです。勉強というのはつまり、正しい方法でやれば正しく理解でき、正しく成長していくものです。つまり、本来は外的な「合格」や「学歴」といった餌がなくとも、「勉強によって物事が身に着く」という事実そのものが本来はモチベーション化可能なものなのです。

 今もしモチベーションが上がらない、という悩みが抱えている方がいらっしゃったら、まずは自分の得意科目からで結構です[10]から、「分からないことが分かるようになる」→「もっと解きたい」という流れを自分の中に作ることを意識してみてください。

大学受験について、受験勉強というのはいわば道具のようなものです。その道具を用いて結果を出すのが受験だというのに、結果より道具にフォーカスしろというのはなんだか変な話な気もしますが、しかし結果にとらわれすぎていては先に進めないことも多いというのは真理でしょう。

実際、ここまでの話が当てはまるのは現役生に限るのかもしれません。浪人生に「さて勉強を楽しんでやろうじゃないか」と言っても響かないであろうことは想像がつきます。

だから、これをすべての人に実践しろ、受け入れろというつもりは毛頭ありません。ただ、もしこの考え方に少しでも共感できる、やってみようと思える人がいるのであれば参考にしていただければ幸いです。

 

 

[10] 実際、私も自身の得意科目である数学から始めています。

 

 

4.おわりに


 今回は、「京大なんて受かる気がしない」を捌いてきました。

 皆様の胸中にある不安というのは、上の2つだけではないと思います。こまごまとしたことや、試験が近づいてくると襲ってくる唐突な恐怖など、不可避なものというのはいくらでもあります。ですが、最も難しいポイントである「勉強法」や「モチベーション」を上手くいなすことができれば、「自分が受かるわけない」という気持ちは少しずつ減っていくのではないでしょうか。

 今回の記事が皆様の勉強の役に立つことを祈っております。

 

 ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。

 

 

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【記事監修者】塾長 柳生 好春


1951年5月16日生まれ。石川県羽咋郡旧志雄町(現宝達志水町)出身。中央大学法学部法律学科卒業。 1986年、地元石川県で進学塾「東大セミナー」を設立。以来、37年間学習塾の運営に携わる。現在金沢市、野々市市、白山市に「東大セミナー」「東進衛星予備校」「進研ゼミ個別指導教室」を展開。 学習塾の運営を通じて自ら課題を発見し、自ら学ぶ「自修自得」の精神を持つ人材育成を行い、社会に貢献することを理念とする。

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