質問をするときは「分からないところがどこか分かる」ことが大切 - 石川県金沢市・野々市市・白山市の学習塾 - 東大セミナー
2023.08.30保護者通信

質問をするときは「分からないところがどこか分かる」ことが大切


皆さんこんにちは。東大セミナーの北川です。

今回は「質問をするときのコツ」についてお話します。

 


目次

1.質問対応をする際に思うこと

2.「この問題が分かりません」

3.「解説のここが分かりません」

4.おわりに


 

 

1.質問対応をする際に思うこと


 

私は(半ば当たり前ではありますが)仕事柄、生徒から教科の内容に関係する質問を受けることがあります。その際、気になっていることがあります。

それはズバリ、「この生徒は私に聞きに来る前に、自分でどの程度考えてから持ってきたのだろう?」というようなことです。

ちょっと教科書に書いてあるような内容から、結構高度で答えにくい質問まで、質問の難易度は様々です。ですが、そういった質問の難易度とは関係なく、「分からないところが出てきたからすぐに先生の所へ持って行ってみよう!」という考えで、質問を持ってきているのではないかと感じる生徒は少なくありません。

前提として、質問そのものは大切です。自分でいくら考えても理解できない、分からないことを先生に聞いて納得することは、成長の上で必要なことです。ですが、無制限に「分からないから質問」としていては、いつまでたっても自力で考える癖がつきません。

ですから、生徒諸氏には是非、「自力で考える癖をつけるための質問」をしてほしい、と常々考えています。今回は数学についての質問を例に挙げ、これをベースに「有意義な質問とは何だろう」というところをお話しできればと思います。

 

 

 

2.「この問題が分かりません」


 

質問を持ってこられる際に、よくあるのが「この問題が分からないです」と言って持ってくるパターンです。

問題が解けない原因は、生徒の状況によって多岐に渡ります。例えば、以下のような問題があったとしましょう。

 

[問題]自然数 \(n \)に対して、\( { 2n \choose n }\le{\frac{4^n}{2} } \) が成り立つことを示しなさい[1]

 

この問題を「分かりません」と言われて持ってきた際に、「何が」分からないのかは多岐に渡ります。問題の意味が分からないのか、問題の意味は分かるけど何をしたらいいのか分からないのか。前者だとしたら、二項係数が分からないのか、自然数を知らないのか、不等式を知らないのか。後者だとしたら、不等式証明とは何をすることなのか分かっていないのか、数学的帰納法を知らないのか、証明って何をしたらいいのか分かっていないのか。

 

ともあれ、「この問題が分かりません」と言われた場合は、まずこの「何が」を特定する作業からスタートします。生徒のレベルにもよりますが、これにはかなりの時間が掛かります。一度や二度ならともかく、毎回このタイプの質問を持ってこられると、現実的には先生側の負担があまりにも大きいことは想像に難くないでしょう。

無論、その手の思考に慣れていない生徒に、「何が」を考える手法を教えること自体はとても意義のあることです。ですが、そこから大事なことを学ばず、同じ質問を繰り返してしまうことは、先生にとっても生徒にとっても有意義とは言い難いでしょう[2]

また、うっかりするとこの質問に対しては、「先生が生徒に解法を説明するだけ」などという最悪の回答をしてしまう可能性があります。それは本当に、生徒のためにも先生のためにもなりませんから、避けなくてはいけないです。

 

[1] 不等式の左辺にあるカッコは、組み合わせの時に使う二項係数を表しています。Cの左側に書く数が上、右側に書く数が下に書いてあります。

[2] 無論、教える側の教え方が悪くて同じ質問を繰り返す場合もありますが……。

 

 

 

3.「解説のここが分かりません」


 

じゃあ、どんな質問が望ましいのかということです。

要するに生徒自身が「何が分からないのかは分かります」という状態にして持ってきてくれるようになることが望ましいわけです。

一つお勧めの方法をご紹介します。それは、「ある程度考えて分からない問題の解説を見て、どこまでが分かってどこからが分からないのかを整理すること」です。

先の問題を再掲しましょう。

 

[問題]自然数 \(n \)に対して、\( { 2n \choose n }\le{\frac{4^n}{2} } \) が成り立つことを示しなさい。

 

これに対して、仮に解説がこのように書いてあったとします。

 

[解答]数学的帰納法を用いて証明する。

\( n =1\) のとき、(左辺)\(= { 2 \choose 1 }=2\) 、(右辺) \(=\frac{4^1}{2} =2 \)より、(左辺)\( \le\) (右辺)となり正しい。

\( n =k\) (\(k\) は自然数)のとき、 \( { 2k \choose k }\le{\frac{4^k}{2} } \)が成立すると仮定する。

\( n =k+1\)のとき、\({ 2k+2 \choose k+1 }={ 2k \choose k }\frac{ 2(2k+1) }{ k+1 } \) であるが、仮定より\(  { 2k \choose k}\frac{2(k+1)}{k+1} \le\frac{4^k(2k+1)}{k+1} \)であり、\(\frac{(2k+1)}{k+1} \le \frac{4}{2} \) なので、\(\frac{4^k(2k+1)}{k+1} \le \frac{4^k+1}{2} \) となり、正しい。よって題意は示された。

 

生徒がこれを読んだ時、どこでつまずくかは人それぞれですが、まさにその「どこでつまずいたか」を言えるようにしておくことが質問の鍵です。例えば、解答の三行目までは理解できたが、四行目出だしの「 \( n =k+1\)のとき、\({ 2k+2 \choose k+1 } \) 」の部分が分からない! となれば、そうなる理由が分かれば後は解けるはずです[3]

そうやって何が分からないかを明確化して質問に来れば、自分の理解に関して関心を持っている分だけ、より効率的に疑問が解消できるはずです。

さらには、毎回このように「自分はどこでつまずくのか」に自覚的になれば、自分がどのようなタイプのつまずきをするのかに気付きやすくなり、結果として質問する前につまづくポイントに気付いて考えを深めやすくなります。それは結果的に、質問の回数を減らし、短い時間で多くのことを学ぶチャンスにもなるでしょう[4]

 

[3] この後で分からないところが出てくる可能性はありますし、実際この問題だとその可能性は高いと思いますが、そうなったらそうなったでまた考えるだけです。

[4] 効率化、という言葉は絶対的な善ではありませんが、時間が限られている受験勉強という分野では、工夫できるところは工夫すべきではあると思います。

 

 

 

4.おわりに


 

分からないことに苦しむことは、辛い時間だと思います。それを解消する方法の1つとして「質問」が有効なのは間違いありません。しかし、質問のやり方によっては自分のためにはなりませんから、質問を持ってくる前に、できることは是非自分でやってみてください。

結果的にそれがあなた自身の学び方の変革に繋がります。

また、今回の趣旨とはズレますが、まださほど時間に追われながら勉強しているのでないなら、「分からないことを楽しむ」という考え方もまた大切になってきます。

「早く分からなければならない」という焦りは理解できますが、「自分は何が分かったらこれが分かるんだろう」、「これはどういうことを言っているんだろう、前に言及はあったかな?」など、自分の「分からないこと」に対して謙虚に、かつ肯定的になれれば、学ぶことそのものが楽しくなりますからね。

 

 

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【記事監修者】塾長 柳生 好春


1951年5月16日生まれ。石川県羽咋郡旧志雄町(現宝達志水町)出身。中央大学法学部法律学科卒業。 1986年、地元石川県で進学塾「東大セミナー」を設立。以来、37年間学習塾の運営に携わる。現在金沢市、野々市市、白山市に「東大セミナー」「東進衛星予備校」「進研ゼミ個別指導教室」を展開。 学習塾の運営を通じて自ら課題を発見し、自ら学ぶ「自修自得」の精神を持つ人材育成を行い、社会に貢献することを理念とする。

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