文理選択のコツ - 石川県金沢市・野々市市・白山市の学習塾 - 東大セミナー
2018.06.29保護者通信

文理選択のコツ


高校1年生の皆様、ならびに保護者の皆様、こんにちは。

東大セミナー東金沢校の山田です。

 

さて、7月に入り、多くの高校1年生は

文系・理系の選択いわゆる「文理選択」を迫られる時期となってきました。

 

「文理選択」とは、大学入試の受験科目に合わせて、

高校2・高校3年生の間に学校で受ける授業カリキュラムを選択することです。

主に2種類で、英語・数学・国語の主要科目に加え、

社会の学習に重きを置く文系のカリキュラムと、

英語・数学・国語の主要科目に加え、

文系では勉強しない数学単元や理科科目に重きを置く理系のカリキュラムです。

この2種類のうち、1つを選ぶことになります。

 

これまで、小学校・中学校と同じ学年の周りの人と同じ授業を受けてきたと思います。

つまり、この文理選択によって、「周りの人と同じ」ではなくなり、

自分の将来に向けて進路を選択することになります。

 

そこで、今回はこの「文理選択」に関して、

すべての高校1年生に当てはまる3つのポイントについてお伝えします。

 

 

 

 

1.得意・不得意科目だけで決めない。


 

文理選択は大学入試の受験科目に合わせて、

学校の授業カリキュラムを決めるものであることをお伝えしました。

もう少し詳しく説明すると、大学の学部には大きく分けて

文系(国語・社会)の研究・学習を中心に行う学部と、

理系(数学・理科)の研究・学習を中心に行う学部の二つがあり、

それぞれ受験科目として、文系の学部の試験は文系の科目を、

理系の学部の試験は理系の科目を中心に課します。

そのため、受験だけを考慮するのであれば、

現在の自分の得意科目で受験が有利になるように選択するのは合理的です。

例えば、

「数学や理科が得意なので、理系を選択する。国語が得意だから文系を選択する。」

という具合です。

 

しかし、この選択の仕方は最終的には合理的ではありません。

最終的にというのは高校3年間で考えると、

損をする場合があるという意味もありますが、

100歳生きると言われている現代において、

人生という長い期間で考えても損をする“可能性がある”という意味です。

 

まず、短い期間である高校3年間という観点で考えると、

高校3年生の時に進みたい進路が変わる可能性があることです。

高校3年生になって初めて、進路について真剣に向き合って、

初めて自分の行きたい大学や学部が分かり、進路を変えたいとなると多大な労力が必要になります。

具体的な例としては、文系から理系に変わると、

「数学Ⅲ」という数学の範囲を一から学ばなければいけません。

また、理科に関しても基礎がつかない「物理」「化学」「生物」「地学」という中から

最低でも1つ選び、一から勉強しなければいけません。

主要科目の勉強をしながら、新しい単元を学ぶことは大変というだけではなく、

実際に狙える大学のランクを落としてしまう可能性もあります。

 

次に、得意・不得意というのは“勘違い”であることが往々にしてあるという点です。

人間の脳は普段、10%しか稼働していないと言われ、

潜在的な能力がまだまだ残されていると言われています。

また、天才と言われる部類の人間は確かに存在するが、

人類全体の1%未満とも言われています。

その中で、現在の得意・不得意というのは情報の偏りであると私は思っています。

科目の好き・嫌いというのはまた別の観点です。

好きな科は情報を好んで取り入れているため、

「テストや普段の授業で活用できる情報が多い=成績が向上しやすい」

という考え方です。

先天的に数学ができない人・国語ができない人というのはいないと思います。

違う言い方をすると、勉強の方法次第ではどんな科目でも得意科目にできるということです。

 

以上のことから、現在の得意・不得意から文理選択をするのではなく、

自分の将来就きたい職や、したいことから逆算して

必要な学問を学べる大学・学部を選択することが重要です。

 

進路変更は労力がかかります。

一方で、目標は変わってしかるべきものであると思います。

生きれば生きるだけ、新しい情報が入ってくるので、

その都度、情報をもとに最善の選択をするというのは賢い生き方であると思います。

しかし、「大学のことは分からないから」「将来のことは分からないから」という理由だけで、

目標設定をせずに今日という1日を過ごしてしまうのは、

人生という期間の観点から考えると勿体無いですよね。

そこで次に、大学の情報の集め方や志望校の設定の仕方をお伝えします。

 

 

 

2.大学の情報を集める。


 

今では情報を集めるのが簡単な時代になりました。

スマートフォンでインターネットアプリを開き、

大学名を検索すれば、大学の詳細がすべて分かります。

また、従来通り「蛍雪時代」といった大学受験情報誌を活用するのも良いでしょう。

学校の図書館・本棚、塾の面談ルームなど、どこにでも設置されていると思います。

では、大量に溢れている情報に、何を手掛かりに調べ始めたらいいのかと、

最初の一歩がなかなか踏み出せない人もいらっしゃると思います。

 

そこで、私が提案するのは下記の2つの方法です。

(1)大学の偏差値ランキング表

(2)取得できる資格一覧、および各職業に就くまでのフロー表

 

(1)は蛍雪時代などの受験情報冊子の付録としてついていることもあれば、

各予備校のHPから閲覧することが可能です。

7月には学校で外部模試を受験する学校が多いと思います。

高校生としての偏差値や全国順位が明らかになります。

大学は高校以上にレベル差が大きいです。

現在の自分の現状の位置を把握し、

目指したい大学のレベルがそれとなく分かると思います。

また、学部ごとに偏差値ランキングの記載があり、

学部の名前を覚えることもできます。

今まで見たことも聞いたこともないような学部を発見する事もあるのでおススメです。

 

(2)も蛍雪時代の特集記事などで記載されることがあります。

(毎年6月号は特集を組まれることが多く、今年も6月号が資格の特集でした。)

具体的には職業ごとに必要な資格がまとまっています。

その資格を取得できる学部についても詳しく明記されています。

初めてみる資格も多くあると思います。

ここで一つ、お伝えしたいことがあります。

「琴線に触れる」という言葉がありますが、

同じものを見たとしても一人ひとり感じ方、興味をもつポイントは違います。

ですから資格に関する資料を見たとしても、一人ひとり興味をもつポイントは違います。

それこそが、非常に尊く、価値があり、将来を考えるヒントになると思います。

「おもしろそう!」というシンプルな感情を忘れないで頂きたいと思います。

以上の2点がまずは大学の情報を調べる第一歩ですが、

将来やりたいことを明確にするためには、

常日頃、「自分のしたいことはなんだろうか?」ということを自問自答し、

「どこかにヒントはないか」とアンテナを張っていることが重要です。

また、少し難しい話になりますが、

自分の強みや存在価値(社会から必要とされていると感じること)を考えることも重要です。

具体的には「○○になりたい」という観点ではなく、

「自分には何ができるのか」という自問自答をすることです。

また、今行っている事(勉強・部活・習い事・遊び)に全力で向き合い、

何か一つを自分が納得するまで極めることです。

極めることを通して、自分の強み・弱み、向き不向きを知ることができます。

自分の強みを活かした、自分に向いた職につくための「大学選択」、

そのための「文理選択」と繋げることができれば、充実した高校生活を送ることができます!

 

 

3.家族で真剣に話し合う。


 

そして、最後のポイントは家族の方と真剣に話し合う場を設けるということです。

10月頃に、学校から文理選択の希望調査用紙をもらったあと、

家族で話し合う機会を設けている場合が多いですが、

今こそ(この記事を見た時こそ)ご家族で将来に向けて文理選択の話をして頂きたいと思います。

今、話し合いをすることで、上記の「1」や「2」にどれだけ真剣に向き合うかが決まると思います。

ご家族で話し合うことはそれだけの効果があると確信を持っています。

ただ、いつも通りの会話の中で文理選択の話をするのではなく、

下記の点を踏まえてお話をしていただければと思います。

 

(1)お父様・お母様は生徒様にどんな人生を歩んで欲しいと思っているか。

(2)生徒様は自分の人生をどのように歩んでいきたいと思っているのか。

(3)お父様・お母様は生徒様が大学進学の際、重要視するポイントは何か?

(県内・県外、国公立・私立、偏差値、資格など)

(4)生徒様は大学進学の際、重要視するポイントは何か?

(県内・県外、国公立・私立、偏差値、資格など)

 

(1)(2)に関しては、

伝えにくい、伝わりにくいこともかもしれませんが、

正解・不正解があるわけではありません。

思ったことをお互いに伝えていただければと思います。

(3)(4)に関しては、

実際に入試直前になった高校3年生と親御様の間で大きな考え方の違いがあり、

議論になりやすいところです。

入試前は入試に専念するためにも、文理選択を控えた今こそ、

話し合っておくべきことであると思います。

 

 

「子曰、吾十有五而志于学」。

儒教の祖である孔子は

「私は十五才で学問(研究)の道に入ろうと決めた」と言われています。

文理選択は大きな進路選択であり、不安や考えなければいけないことがたくさんあると思います。

しかし、15~16歳というのは、人生の中で一番多感な時期であり、

周囲の多くの人から影響を受け、自分を考えるには最高の時期です。

不安をチャンスと捉え、人として大きく成長できる文理選択をしましょう!

 

SNSでシェアする
カテゴリ
 

【記事監修者】塾長 柳生 好春


1951年5月16日生まれ。石川県羽咋郡旧志雄町(現宝達志水町)出身。中央大学法学部法律学科卒業。 1986年、地元石川県で進学塾「東大セミナー」を設立。以来、37年間学習塾の運営に携わる。現在金沢市、野々市市、白山市に「東大セミナー」「東進衛星予備校」「進研ゼミ個別指導教室」を展開。 学習塾の運営を通じて自ら課題を発見し、自ら学ぶ「自修自得」の精神を持つ人材育成を行い、社会に貢献することを理念とする。

ページTOPへ
facebook