皆様、こんにちは。東大セミナーの篠原です。
個人の学習動機(勉強のモチベーション)は人それぞれ異なり、「ご褒美がもらえるから勉強する」や「将来の役に立つから勉強する」といった理由があります。
今回は、個人の学習動機を分類した「学習動機の二要因モデル」の6つのタイプと、それぞれに適した勉強法についてご紹介します。
目次
「学習動機の二要因モデル」とは、学習動機を「学習内容の重要性」と「学習の功利性」の2つの軸で6つのパターンに分類したもので、心理学者の市川伸一氏が提唱しました。
垂直軸の「学習内容の重要性」は、学習している内容が「この内容だからこそやりたい」という内容重視の考え方か、「別にこの内容でなくても良い」という考え方、どちらに当てはまるかを示しています。上段は内容重視で下段は内容を重視しない考え方です。
水平軸の「学習の功利性」は、「学習をやれば得をするし、やらなければ損だ」という風に考えているか、学習について賞罰を意識していないか、どちらかの考え方が含まれます。右に進むほど、功利性を重要視しています。
「学習動機の二要因モデル」は、以下の6つの志向に分類されます。
充実志向:
学習そのものが楽しく、充実感があるから勉強する。内容が楽しいことが重要で功利性をあまり意識しない。
訓練志向:
知力を鍛えるために勉強をする。頭が良くなる課題でないとやる気が湧かない。
実用志向:
勉強は将来の仕事や生活に役立つから行う。役に立たない内容にはやる気を感じない。学習内容を重視する。
関係志向:
他の人に影響を受けて勉強する。学習内容より「誰と学ぶか」が重要で学習内容の重要性は低い。
自尊志向:
他人に負けないために勉強を行う。学習内容ではなく気分に左右され、自己満足感を感じる傾向にある。
報酬志向:
より具体的な報酬に焦点を当てる。勉強の目的は報酬やご褒美であり、学習内容にはあまり興味がない。
充実志向、訓練志向、実用志向は相関が高く、学習内容に関与する動機であるため「内容関与的動機」と呼ばれます。
一方、関係志向、自尊志向、報酬志向も相関が高く、学習内容と学習動機が分離しているため「内容分離的動機」と呼ばれています。
「内容関与的動機」が高い人は、学習方法にも柔軟なアプローチをとる傾向があります。例えば、学習方法において「自分の学習のしかたをいろいろ工夫してみる」とか「丸暗記するのではなくて理解することが大切だと考えている」という考え方をする傾向があります。
一方で、「内容分離的動機」と学習法の特性には相関がありません。報酬志向が強いことと、学習方法の工夫や理解に焦点を当てるかどうかについては関連が無いということです。
これらの動機を深く理解し、柔軟なアプローチを採ることは、学習へのモチベーションを高めるのに役立ちます。
学習動機を理解したら、それに合わせた環境を整えることが重要です。
賞罰を自分でコントロールする:
報酬志向を意図的にコントロールし、勉強のやる気を引き出すことができます。自分で自分に報酬を与えることを「自己強化」と呼びます。勉強の目標や締め切りを自分で設定し、達成感を得る方法です。
対人環境を整える:
自尊志向や関係志向を利用して勉強環境を調整できます。良いライバルを見つけたり、友達と一緒に勉強したり、過去の自分をライバル視することが効果的です。
勉強をより楽しく:
充実志向を持つ人は学習そのものを楽しむので、勉強が楽しくなる工夫を取り入れてみましょう。調査結果を小冊子にまとめたり、映像化したりすることで、楽しさを増幅させられます。
失敗から学ぶ:
訓練志向を持つ人は、学んだことが他の場面でも通用する能力につながることを重要視します。失敗や間違いから教訓を引き出し、成長できるよう心がけましょう。
学習の実用性を強調:
実用志向の人は学びの実用性を見えやすくしましょう。学んだことがどのように役立つかを意識することで、モチベーションを高められます。
今回は、異なる学習動機に合わせた勉強法と学習環境について紹介しました。各志向には優劣はなく、自分に合った方法を見つけ、学習を成功に導く手助けとしましょう。
様々な学習志向を理解し、ご家庭での学習に活かすことができれば幸いです。
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